【仕組債】基本的な仕組み、メリット、デメリット 2018年7月16日
『リスクはなるべく抑えた仕組みで高い利回りが期待できますよ。』
銀行員時代、このような言葉で年間目標をほぼ全て仕組債だけであげていた先輩がいました。
また最近は仕組み預金といって普通預金よりも利回りが良いですよと謳っている銀行もあったりするので、この仕組債についてまとめたいと思います。
目次
1.仕組債の基本的な仕組み
これを説明すると凄く難しくなってしまうのですが、簡単に言うと債券というシンプルな仕組みにデリバティブやオプションといった金融技術を融合させたものです。
債券についてはまた別途記事にする予定ですが、まぁ普通の債券に仕組みが付いていて複雑になっているんだなと考えていただければと思います。
では具体的にどういう仕組みになっているか説明したいと思います。
なにやら難しそうな図が出てきました。
この図で言うと1番と2番がメリットがあって3番のケースがデメリットとなると考えてください。
1番はノックアウト判定水準というものを越えています。
2番はずっとノックアウト判定水準にもノックイン判定水準にも到達していません。
3番はノックイン判定水準に到達しています。
ノックアウトっていうとボクシングとかでは相手のパンチを食らって倒れるという意味なのでデメリットに感じるかもしれませんが、仕組債ではメリットとなります。
これだとイメージがしにくいと思うので具体的な数値を入れてみました。
また別の記事で細かく説明をしますが日経リンク債というものをイメージして説明をします。
わかりやすく日経平均株価を使って説明します。
出てくる数字は3つ。
行使価格:仕組債を購入した時の日経平均株価だと思ってください。これを20,000円と仮定します。
ノックイン価格:切ってはいけない価格です。これが今だと12,000円くらいが相場なので12,000円とします。
ノックアウト価格:ゴールの価格だと思ってください。これが今だと21,000円くらいが相場なので21,000円とします。
【前提条件】
2018年7月1日に仕組債を100万円で購入したとします。
その日の日経平均株価が20,000円です。
債券なので金利は年間で4%とします。
満期は3年間とします。
【1番の場合】
2018年10月1日に日経平均株価が22,000円だったとします。
そうするとその時点で100万円と、3ヶ月保有してたので3ヶ月分の利息の1万円が戻ってきます。
【2番の場合】
2018年7月から2021年6月30日まで日経平均株価がノックイン価格の12,000円からノックアウト価格の21,000円の間でウロウロしていたとします。
そうすると満期の2021年7月に100万円と3年分の利息の12万円が戻ってきます。
【3番の場合】
2019年4月1日に日経平均株価が10,000円になり、結局2021年6月30日に日経平均株価が10,000円だったとします。
そうすると満期の2021年7月に50万円と3年分の利息の12万円が戻ってきます。
すごく簡単にまとめると何か目安とする物(今で言うと日経平均株価を例にしました)を決めて仕組債を買う。
日経平均株価がノックアウト価格を上回ると元本と利息が戻ってくる。(メリット)
日経平均株価がノックイン価格もノックアウト価格も関係ないラインで推移すると元本と利息が戻ってくる。(メリット)
日経平均株価がノックイン価格を下回ってそのままだと購入金額が減って戻ってくる。(デメリット)
これが今はわかりやすく身近な日経平均株価で具体例を説明しましたが、どこかの企業の株価に連動させたり、どこかの国の通貨に連動させたり等様々な仕組債があるというわけです。
2.仕組債のメリット
これはシンプルですね。
高い利息が得られるということは間違いなくメリットです。
仕組債の利率はどのような条件にするかによって変わるのですが、大体2%から6%の間で利率が決まると思います。
銀行に預けていても0.01%ということを考えるとメリットであることは間違いないと思います。
他には条件を自由に決められるということもメリットです。
これは例えば日経平均株価が40%下がったら元本割れリスクがあるという条件を50%下がっても大丈夫なようにもできます。その代わり利率は下がります。
もちろんその逆も可能で、日経平均株価が15%下がったらアウトという条件も可能です。その場合は利率が高くなります。
人それぞれ相場に対する考え方などは違うと思うので、自分の考えに合った仕組債を作って、自分的にはローリスクミドルリターンの仕組債を購入することも可能です。
3.仕組債のデメリット
まず最大のデメリットはリターンが限定的なのにリスクが計り知れないということです。
これで考えると100万円を投資しても最大でも得られるリターンは12万円となります。
それに対して損失は3番のケースで考えても38万円の損失です。
これは満期時の日経平均株価÷購入時の日経平均株価という計算になりますので、満期時の日経平均株価が7,000円とかになっていたら100万円の投資に対して35万円と利息しか戻ってこないという計算になります。
勿論人によっては日経平均株価はそんなに下がらないと考えるかもしれませんが、100万円を投資して最大でも12万円のリターンしか得られないのに、50万円以上損失が出るかもしれないというのは僕の感覚ではリスクとリターンの割合がおかしいかなと思います。
次にこれは上とデメリットと少し被るところがありますが、リターンが限定的という話です。
例えばこれまでの前提で説明をすると日経平均株価が20,000円から22,000円に上昇したらノックアウト価格を上回るので、保有期間の利息と元本が戻ってきます。
これはメリットと説明をしました。
しかし例えば投資信託の中には日経平均株価に連動した動きをする商品もあります。
もしもそれを100万円分買っていたとすると日経平均株価が20,000円から22,000円に上昇すると10%値上がりしているので10万円がリターンとして受け取れるというわけです。
どのくらいの期間で値上がりをするかにもよってきますが、仕組債は仕組みをつけていることによってリターンに蓋をしてしまっているとも言えます。
その分リスクを抑えていると考えることもできますが、これはデメリットの1つして考えるべきだと思います。
4.まとめ
メリット
普通の債券や銀行預金よりは高い利回りが期待できる。
条件を自分で作ることも出来るので相場観にあった条件で購入できる。
デメリット
リターンが限定的なので大儲けするといった商品ではない。
リターンの上限額が決まっているのに、リスクはどれだけ損失が出るか計り知れない。