【投資信託】ゴールドマンサックス社債【元本確保型】
運用には興味があるけど損をするのが嫌なんですよね。
僕は銀行員時代、何度もこの台詞を聞いてきました。
というか今もよく聞きます。
損をしたいなんて人はいないと思いますし、儲からないよりは儲かりたいと思うのが当然だと思うので、まぁこの気持ちはわからんでもないとは思います。
そんな中、日経新聞でも大々的に広告を出して今まさに売り出し中の投資信託で元本確保型の投資信託があります。
この手の商品は銀行員時代にも扱いましたが、期間限定と言いつつ売れたらまた追加で出す可能性が高いので、まとめておこうと思います。
ちなみに自分がこれを扱っていたら多分あまり販売していなかったと思います。
商品としてはアセットマネジメントOneが委託会社となっているゴールドマンサックス社債/国際分散投資戦略ファンドという商品になります。
目次
1.どう言う仕組み?
特徴としては3つの点があげられています。
細かく色々と書いていますが、
ゴールドマンサックスの社債に投資をする。
10年後に戻ってくる。
元本確保を目指す。
ということですね。
社債というものはそれを発行している企業が潰れさえしなければ元本は確保されますので、要はゴールドマンサックスさえ潰れていなければ10年後に元本は戻ってくるよ、という話です。
これも簡単にまとめると
ゴールドマンサックスが運用をするよ。
利益を出して還元するよ。(これが実績連動クーポン)
それとは別に固定で金利も支払うよ。(これが固定クーポン)
ということです。
社債というものは買ってもらったらその人から借金をしているということなので、利息を支払う必要があります。(固定クーポン)
普通は固定クーポンだけなんですが、これは運用してうまくいったらプラスアルファでそれも還元しますねとお得アピールがされているわけです。
諸々のコストは社債の利金から引くよ。
余ったものを分配するよ。
ということです。
投資信託は信託報酬といったものを含めて保有期間中に色々と手数料がかかります。
あと、投資信託を保有している間信託報酬しかかからないって思っている方多いと思います。
たまに『投資信託で運用する際にはコストを考える必要がある。それが信託報酬だ!』と書いていたりするのを見かけるので、一般の方が誤認してしまうのは仕方ないのですがこれは間違いです。
AとBを比較して信託報酬はAの方が高くても実際はAの方が保有期間中のコストが安いってことは普通にあることです。
細かくはまた別途記事にしたいと思います。
本題からズレましたが、そういった基本的な手数料は固定クーポンから支払います。実績連動クーポンからも成功報酬分(10.8%)を引いてそれの残りを分配しますね、ということです。
要は実質手数料負担がなく、ゴールドマンサックスの運用益を得ることが出来るというイメージでしょうか。
2.本当に元本確保されるの?元本保証とは何が違うの?
これが気になるところだと思います。
確かにこちらを見ると元本確保をめざします、と書いてあります。
実際、日経新聞で大々的に広告を出していた際も元本確保型と謳っていました。
そもそも元本確保と元本保証どちらも同じに聞こえるけど何が違うのか、という話です。
元本保証は基本的にいつ辞めても絶対に元本割りませんよというものです。
例えば銀行の預金なんかは今日預けて明日出しても別に預けたお金は減っていないと、これが元本保証です。
一方元本確保は満期まで持っていれば元本は割れませんよという意味合いです。
ただし途中で売ったりした場合は時価で計算になるのでもしかしたら元本割っていますよというものです。
なので定期預金から預け替えをする感覚でこの商品を買ってしまって、途中で急にお金を引き出したくなってもその時は損しているかもしれませんということです。
じゃあ本当に満期まで持っていたら元本が確保されるの?という点ですが、満期の時にゴールドマンサックスが破綻していなければという話になると思います。
こちらにザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インクによる保証が付されますと記載があり、こんなに凄い会社なんですよみたいに書かれていますが、別にこの会社が保証をするから元本が確保されるというわけではないので注意が必要ですね。
3.結局投資信託としては良いの?悪いの?
商品そのものが良いか悪いかということは非常に答えにくい質問です。
これに限った話ではなく何でもそうですが、金融商品は良いか悪いかというよりも自分に合っているのか合っていないのかが重要です。
色々な人に合っていてもそれが自分に合わなくては何の意味もありません。
ちなみに僕はこの商品が良いとは思えない(自分のリスク許容度や期待する金融商品の特性と合わないから)ので、自分で買いたいとは思いません。
ただゴールドマンサックスという信用力がある会社の社債を買うわけなので、初めて金融商品を買いますよという方には勧めやすいのではないかと思います。
ただしこの商品の最低購入金額が300万円というところが問題です。
300万円を一括で運用に回せて、しかも最悪10年間は置きっ放しになるということは数百万円は余裕資金がないと厳しい。
ということは20代、30代は資金的に厳しいケースが多い。仮に余裕があったとしてもその年代で初めて投資しますよという人にいきなり300万円というのもどうなのかな?と思います。
40代、50代は資金的にはいけるかもしれないけども、子育てだなんだとこれから先かかってくるお金を考えると300万円も投資に回す余裕が考えにくい。
そうすると必然的に60代や70代でリタイアした層がターゲットになってくるのですが、その層に下手したら10年間は塩漬けになってしまうかもしれない運用って期間として考えるとどうなのかな?というのが個人的な意見です。
まだこれが相続対策になる保険とかだったら良いと思うのですが、そういうわけでもないので僕が営業マンだったら積極的にこれを勧めたいとは思えないです。
4.まとめ
ゴールドマンサックスに全てがかかっています。(元本の安全性も運用益も。)
その点が信用できる人にとっては元本確保型投資信託と言えます。
ただし元本確保と元本保証は違うのでその点は注意が必要です。(10年間は塩漬けにする覚悟と余裕が必要です。)
最低購入金額が300万円で10年間という期間まで考えるとこの商品にマッチする属性の人は少ないと思います。
個人的には買いたいと思わないですし、お客さまにも積極的に勧めたいと思わない商品です。