【保険の考え方】保険会社からお金を受け取る確率【保険を考える3つのステップ】
がん保険って必要なのかしら?
今や、がんは日本人の2人に1人がなる病気です。なったら大きなお金もかかるし、備えた方が安心もできるしよろしいかと思います。
よく見る会話ですね。
今回は「保険を確率という角度から考えてみる」ということをテーマで記事を書きたいと思います。
ちなみにこういう記事を書いておいてなんですが、個人的意見としては保険を確率で論じてる時点で、保険の本質的な意味を履き違えていると思います。
また今回は別にがん保険に限った記事ではありませんが、がんに関するデータが比較的簡単にまとめられるという理由からがん保険を例に記事にしています。
1.そもそもがんになって保険会社からお金を受け取れる確率は?
そもそも本当に2人に1人もがんになるのかしら?
例えばあなたが30歳だとします。
60歳までにがんになる確率は7%という確率になります。
しかし一生涯で考えると62%の確率でがんになります。
当たり前ですが、保険会社の人がよく言う『がんは2人に1人はなりますので、がん保険で備えた方がいいですよ。』というセールストークは嘘ではありません。
ではここで質問です。
がんになる確率は62%だとすると、がん保険に加入して保険会社からお金を受け取れる確率は62%なのか?
いかがでしょうか?
これについては別途まとめたいと思いますが、答えはノーです。
保険に加入する際に、考えることってどういうことがあるでしょうか?
毎月いくらくらい支払うのかな?
どのくらいお金が貯まるのかな?
こういったことは考える人が多いと思いますが、具体的にどうなったらどのくらいお金が受け取れるのか、これを考える方は少ないように感じます。
いわゆる出口戦略というやつです。
勿論、ある程度は考えると思うのですが、ここでポイントなのは「具体的に」考えているかどうかです。
- がんになる確率が2人に1人というのは統計的なデータでもあるので間違いのない事実。
- だからといってがん保険に加入した場合に2人に1人が保険会社からお金を受け取れるというわけではない。
- 保険に加入する際は「具体的に」どういった場合にお金を受け取ることができるのか考えることが重要。
2.保険は確率で考えない?
と言うことはがんに2人に1人くらいはなるのだったら、がん保険はやっぱり必要なのかしら?
確かに一生涯でがんになる確率はそれなりに高いですが、60歳までになる確率は低いですよね?ということは若いうちからがん保険は不要なのでは?
よく見かける理屈ですね。
確かに上の国立がん研究センターの統計データを見ても30歳の男性が60歳までにがんになってしまう確率は7%です。
93%の人には関係ない話だから、考えるのはそれからでいいや、となりがちです。
特に物事を期待値で考えがちな投資家やギャンブラーの方なんかに多い考え方な気がします。
ではここで3つだけ簡単な質問をします。
もしもこれが全て「いいえ」の場合は、この記事を最後まで読んでも時間がもったいないと思いますので、お帰りいただいた方がよろしいかと思います。
では1つ目の質問です。
あなたが一戸建ての自宅を購入したとします。火災保険には加入しますか?
いかがでしょうか?
では次の質問です。
あなたが自家用車を購入したとします。任意保険(例えば人をはねてしまった場合に補償される保険)には加入しますか?
いかがでしょうか?
では最後の質問です。
仮に何かにつまずいたらお金を受け取れると言う保険があったとします。加入しますか?
いかがでしょうか?
おそらくですが、最初の2つの火災保険と任意保険に加入しないと言う方はほとんどいないと思います。
火災保険の場合は、住宅ローンを組んでいると最初の10年間は組まないといけないからって話はあるかもしれませんが、選択権があったとしても皆さん火災保険は入るのではないでしょうか?
しかし最後の「つまずいたら保険がおりる保険」というものが仮にあったとしても加入したい!とか加入しないと!って思う方は少ないと思います。
確かにそうだけど、これはなんでかしら?
僕はここに保険の本質的な考え方があると思います。
保険は確率で考えるのではなく、その状態が困るのか困らないのかで考えるべき。
ということです。
火災保険に入らずに家が万が一燃えてしまっても住むところに困らないし、燃えたものに住宅ローン払い続けるのが苦でない人は火災保険は不要だと思います。
任意保険に入らずに人をはねてしまって、多額な損害賠償を請求されても困らない方は任意保険も不要だと思います。
でも困る方が殆どだからこの2つに加入するかどうかを迷う人すらいないんじゃないでしょうか?
多くの保険の営業マンがここの本質を間違えていきなり『がんになる確率は2人に1人ですよ。』と確率論で話をしてしまうから話がややこしくなってしまうのです。
- 保険は確率で考えるのではなく、その状態が自分や家族にとって困るのか困らないのかで考えるべき。
3.保険ってどう選んだらいいんだろう?
じゃあ保険ってどうやって選んだらいいのかしら?
僕は簡単な3つのステップで考えるのが良いと思います。
それぞれのステップについて簡単に解説していきたいと思います。
1.まずはその状態が自分や家族にとって困るのかどうか考える。
ここで保険に加入するか否かが決まります。
例えばですが、いくらがんになる確率が高くてもがんになっても困らないのであれば僕は保険に入る必要はないと思っています。
気をつけなくてはいけないのは困るかどうかを考える際に、そこに精神的ストレスがあってはいけないということです。
例えばこちらをご覧ください。
これは女性のがんにかかる確率です。
よく女性より男性の方ががんになりやすいと言われますが、それ自体は事実です。
男性が62%程度に対して女性は46%程度です。
しかし30歳の女性が60歳までにがんにかかる確率は11%と男性の7%を上回っています。
これは女性特有の子宮に関するものとか女性の方がなりやすい乳がんの存在が大きいです。
例えば乳がんの場合で話をしますが、治療費だけであれば健康保険適用の治療をするだけであれば高額療養費制度といって一月の上限が定まっているので家計にそこまで打撃は与えないかと思います。
これで命は助かります。
だから困らない?
乳房再建術っていくらくらいかかるのかしら?
抗がん剤で治療をしたら髪も抜けちゃうから外に出にくくなるわ。ウィッグっていくらくらいなのかしら?
こういった心配が出てくるのが現実です。
どちらも何百万円もかかるようなものではありませんが、数十万円という費用はかかってきます。
勿論、その時期に子どもの塾のお金がかかるからとかで、家計が厳しいなっていうことならお母さんは子どものために我慢すると思います。
しかし、これでは困らないかもしれませんが、精神的にストレスがかかっている状態になってしまいます。
なので、そういった所まで含めて考えていただく必要があると思います。
- まずはその状態が困るのかどうかで考える。
- 困るのかどうかを考える際に「我慢すればいいか」は駄目。
2.困らないようにするにはどのくらいの金額が必要なのか考える。
ここで保険のサイズが決まります。
この2番目のステップでよく間違いが起こります。
掛け捨ては好きじゃないから積み立てタイプがいいわ。でもそんなに保険にお金は払えないからうまく設計出来ないかしら?
そうですね。わかりました。ではそのようにお作りします。
こういう会話です。
お客さん側としては保険の必要性はわかった。
でも掛け捨てはなんとなく損する気分になるし、積み立て型の方が良く見える。
でも保険として必要な金額を全部積み立てで備えると物凄い保険料になる。
支払える分で積み立てタイプの保険を組みたい。
要はこんな感じです。
しかし、せっかく必要だと思って備えても肝心なときに役に立たないのでは意味がありません。
保険で1番大切なのはその状態になっても困らないようにすることであって、その他のことは全て二の次 です。
気持ちはなんとなくわかりますが、ここはそもそもの目的を見失わずにしっかりと考えた方がいいと思います。
- 保険を考える元々の目的はその状態になっても困らないようにするため。
- 損得を考えて、元々の目的を見失っては駄目。
3.保険の細かい設計をきめていく。
ここで損得の話が出てきます。
色々と決めることがあります。
積み立てタイプなのか掛け捨てタイプなのか?
10年間で支払うのか60歳まで支払うのか?
月々支払うのか年に1回の支払いにするのか?
ここを決めるのに力を注ぐ営業マンやお客さんが多かったりしますが、いきなりここを考えるからよくわからないって話になったり、保険の確率みたいな見当違いの話になってしまうのだと思います。
1と2のステップさえしっかり決まっていれば、3のステップは本当にただの微調整の問題だと思います。
- 保険の細かい設計はおまけ。
- しっかりした手順で考えていけば、設計は自ずと決まってくる。