【住宅ローン】変動金利と固定金利、どちらが良いですか? 2018年8月1日更新
変動金利の方が金利が低いけど、将来金利が上がってきたら心配ですね。
今は金利が低いから、金利の低い間に固定金利で金利上昇リスクに備えましょう。
上は僕が商談をしている時にお客さまからよく言われる発言。
下は少し前からインターネットとかで見かけるFPの方々がよく発信している内容。
元々銀行員ということもあって住宅ローンの相談もよく受けます。
変動金利がいいのか固定金利がいいのかは、住宅ローンをこれから借りようかなって人は必ず通る道だと思います。
そんな時僕はほぼ変動金利を勧めます。
実際、僕はマイホームを2013年に購入しましたが、変動金利で借りています。
なぜ変動金利が良いの?
こういった疑問はあると思いますので、それをこれから説明していきたいと思います。
住宅ローンの仕組み
まず初めにこちらを見ていただきたいと思います。
こちらは金融機関の住宅ローンがどのような金利で今まで推移してきたのかを表しています。
例えば右下の方に平成29年10月の金利が載っています。
上から
10年固定金利:3.25%
3年固定金利:3%
変動金利 :2.475%
となっています。
『いやいや、こんな高い金利で借りている人は見たことがないし、今は過去最低水準の住宅ローン金利って聞いていますよ?』と思われているかと思います。
上記の金利は民間金融機関の金利の推移は推移ですが、金利は金利でも店頭金利と呼ばれるものです。店頭金利=住宅ローンの定価と考えるとわかりやすいと思います。
今は住宅ローンの競争が激しいので定価で借りて行く人はいない。
だから各銀行、定価から値下げをして住宅ローンを提供しているという考え方です。
住宅ローンの契約をしたことがある人は記憶にあるかもしれませんが、【金利優遇の覚書】みたいな名前の用紙に数字などを記入したと思います。
住宅ローンの契約って記入する用紙もたくさんあるのでどんな用紙か事細かに確認をして、なおかつそれを覚えておくって方は少ないと思うのですが、どういう用紙かというと
あなたの住宅ローンは店頭金利から〇〇パーセント引き下げをしますよ
という内容です。
この〇〇の中に数字を書いて各々の住宅ローンの金利が決まってくるという仕組みです。
例えば変動金利で考えると、今の住宅ローンの定価は2.475%、覚書の〇〇のところに1.8%と書いていたら2.475-1.8=0.675%で借りられるというわけです。
ただし、上のグラフでもあるように定価は時代によって変わってきます。
なので例えば5年後に定価が2.875%になっていたとします。
その場合でも定価から1.8は引くという契約になっているので、2.875-1.8=1.075%で借り続けることが出来るというわけです。
ここで重要なのは住宅ローンを借りるときは何パーセントで貸します、借りますという契約ではなく、定価から何パーセント引き下げをする契約で貸します、借りますという契約だということです。
固定金利よりも変動金利が良い理由は?
まずはこちらを御覧ください。
これは某ネット銀行の金利一覧です。
定価である店頭金利ではなく、実際に貸し出す時の金利を表示しています。
金利が安いから。
住宅ローンは世の中にある様々な借金の中で最も安く借りることが出来る手段です。
この手段を使うのであれば最大限安く借りた方が色々とメリットがあると思いますので、僕は銀行員の時から一貫して基本的には変動金利をお勧めしています。
ただし稀に固定金利の方が有利な方もいるのですが、それはまた別途記事にしたいと思います。
あとお客さまからよく言われるのが『銀行員の方には固定金利が良いと言われたんですが。』という言葉。
これはその銀行員が本当に固定金利が良いと思っている場合もあると思いますが、実は別の理由があるケースもあります。
それはまた別途記事にしたいと思います。
変動金利と固定金利でどのくらい差があるの?
変動金利の方が安いってどのくらい安くなるのかしら?
気になるところですよね。数字で何パーセント金利が安いからといってもイメージが湧かないと思うので、具体的に見てみましょう。
では上で金利一覧をお見せした某ネット銀行で、変動金利で借りた場合と固定金利で借りた場合のシミュレーションを見てみましょう。
まずは変動金利。
借りる金額は3000万円としています。
月々77,306円の返済となります。
ずーっと金利が変わらなかったとしたら3000万円を借りたのに対して約3246万を支払うことになる。
では続いて固定金利の場合。ここでは10年固定でシミュレーションをしています。
変動金利0.457%に対して、固定金利1.21%ですので、0.753%金利が違います。
月々87,653円の返済となります。
これもずーっと金利が変わらなかったとすると3000万円借りたのに対して約3681万円を返済することになるというわけです。
まとめてみると
項目 | 変動金利 | 固定金利 | 差 |
---|---|---|---|
想定金利 | 0.457% | 1.21% | 変動金利の方が0.753%低い |
月々の返済額 | 77,306円 | 87,653円 | 変動金利の方が10,347円安い |
総返済額 | 32,468,684円 | 36,814,250円 | 変動金利の方が4,345,566円安い |
といったようになります。
月々の給料を1万円多くする、月々の生活費を1万円節約する。
どちらも大変だと思いますが、住宅ローンの借り方1つでここまで変わるのであれば変動金利の方がメリットがあるなと個人的には思います。
変動金利にしていて、これから先金利は上がらないの?
でも最近金利が上がるって聞いたし、変動金利でこれから先大丈夫なのかしら?
心配ですよね。金融ロジックで説明すると難しくなるので、簡単に考えてみましょう。
特に今は異次元金融緩和と呼ばれマイナス金利真っ只中。
誰が考えても今の金利が低い。
これは事実だと思います。
これから先、金利は上がるだろう。
この予想も真っ当だと思います。
でも住宅ローンの変動金利に関しては心配する必要がないと思っています。
マイナス金利の状況から金利が上がることによって、この先いま借りている変動金利の金利が上がるのであれば、マイナス金利になる前から変動金利で借りていた人はいま借入金利が下がっているのでしょうか?
ということです。
どういうことか?
変動金利にしていていた場合、これから先金利が上がるのでは?という人の理屈はこうです。
今はマイナス金利で金利が安い→これから先マイナス金利は解除される→金利が上がるから変動金利も上がるだろう
一見理にかなっています。
では
以前はマイナス金利ではなかったから今よりも金利が高かった→今はマイナス金利で金利が下がった→あれ?以前から変動金利を借りている人の金利はそのままだけど?
これに対してはどう答えるのでしょうか?
住宅ローンの仕組みのところでも説明をしましたが、住宅ローンの店頭金利自体はマイナス金利になっても以前と特に変わっていません。
というよりもここ20年以上ほぼ変わっていません。
ですが例えば10年前くらいに住宅ローンを変動金利で借りたAさんは多分1.275%程度だと思います。
でも例えば去年住宅ローンを変動金利で借りたBさんは多分0.625%とかで借りていると思います。
じゃあ今Aさんの住宅ローン金利は0.625%まで下がっているのかと言ったらそんなことはありません。
なぜか?
住宅ローンの契約は「店頭金利から何パーセント引いて貸しますよ」という契約だからです。
この何パーセント引きますよの部分が10年前に借りたAさんは1.2%、去年借りたBさんは1.85%という契約なので、この2人の金利差が埋まることは永遠に来ないというわけです。
なのでもしかしたら10年後に住宅ローンを借りるCさんは変動金利で借りても1.275%でしか借りられないかもしれません。
が、だからといって去年借りたBさんの金利もそこまで上がるかというとそもそもの契約内容が違うのでそうならない可能性が高いということです。
これは勿論店頭金利が上がれば話が変わってきますが、少なくともマイナス金利になる前となった後で店頭金利が同じということは事実なので、今がマイナス金利でこれはその内解除されるから変動金利も上がりますよという理屈はおかしいことがわかると思います。