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メガバンク出身のファイナンシャルプランナーによる、なるべくわかりやすい言葉で金融商品についてまとめていくブログです。

【三菱UFJ銀行】住宅ローン 2018年7月13日更新

三菱さんは住宅ローン借りにくいんでしょう?

大きいところの住宅ローンの方が安心できる。

 

この2つは銀行員時代によくお客さまに言われていた言葉です。

 

三菱さんに相談に行ったら固定金利を勧められたけどどうなんですか?

 

これは今の仕事をするようになってからお客さまによく言われる言葉です。

 

今回は三菱UFJ銀行の住宅ローンについて、裏話も含めてまとめていきたいと思います。

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三菱UFJ銀行の住宅ローン金利、仕組み

まずはここが気になるところだと思います。

ではこちらをご覧ください。

 

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 三菱UFJ銀行の住宅ローンのトップページに行くとまずはこういった画面がドーンと出てきます。

 

少し進んでいくと次のような画面が出てきます。

 

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ここでまず大前提となってくる情報をお話しすると三菱UFJ銀行の住宅ローンには大きく分けると2種類の選択肢があります。

1つ目はずっと金利優遇の幅が大きいタイプ。

2つ目は最初の固定金利の期間だけ金利優遇の幅が大きくて、その後は優遇幅が少し小さくなるタイプ。

 

優遇幅って何?って方はこちらを先にご覧いただけると幸いです。

bankmoney.hatenablog.com

住宅ローンの金利が決まってくる裏話も掲載しています。

 

1つ目のずっと金利優遇の幅が大きいタイプは常に店頭金利から-1.85%してくれるというわけです。

2つ目の最初の期間だけ優遇幅が大きいタイプは最初の期間は-2.5%してくれて、最初の固定期間が終わるとその時点の店頭金利から-1.6%してくれるという感じになっております。

 

では住宅ローンの店頭金利一覧を見てみましょう。

 

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 保証料一括前払い型って何?ってあると思いますが、保証料については別でまとめたいと思います。

 

これだけ見ても三菱UFJ銀行金利が高いのか低いのかわからないと思うのでいくつか他の銀行と比べて見たいと思います。

条件が入り乱れると比較にならないので全て新規で借りる場合、変動金利でずっと金利優遇幅が同じプランと仮定します。

 

メガバンク

三菱UFJ銀行:0.625%

みずほ銀行:0.525%(ネット住宅ローン)

 三井住友銀行:0.625%

りそな銀行:0.470%

 

・信託銀行

三菱UFJ信託銀行:0.500%

三井住友信託銀行:0.475%

 

・ネット銀行等

ソニー銀行:0.457%

住信SBIネット銀行:0.457%

じぶん銀行:0.457%

 

住宅ローン金利だけを見たら三菱UFJ銀行にメリットはないと思います。

 

ちなみにネット申し込みかつ借替時限定ですがこのようなプランもありました。

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借替であれば他の銀行も金利を安くしたりしていますが、実はこの固定3年の0.4%というのはネット銀行と比較をしても非常に安いです。

ただこれは気のせいですので、詳しくは後ほどデメリットのところで説明したいと思います。

 

またちょっと住宅ローンの保障とかが心配だなという方にはこういったプランもあります。

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通常、住宅ローンには団体信用生命保険といって亡くなったら住宅ローン残高を0にしますよという保険がついてくるのですが、これは7大疾病の保障を上乗せさせるといったものです。

 

具体的にはこちらをご覧ください。

 

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癌などは心配な方も多いと思いますが、癌となっただけで住宅ローンが帳消しになるのは嬉しいですね。

金利が上乗せされるので必ずしもメリットがあるとは限りませんが、検討する価値はあると思います。

 

三菱UFJ銀行の住宅ローン審査の流れ

一般的な流れですが

事前審査→正式審査→契約手続き→住宅ローン実行

という感じになります。

 

これはどこの銀行でも似たような感じだと思います。

 

ではもう少し詳しくお客さま側の来店等に関する負担と合わせてまとめていきたいと思います。

 

1、事前審査

来店して書類に記入するかネットで行うかどちらかになります。

事前審査をして結果が出るのは大体2日とか3日くらいだったと思います。

 

しかしこれはやらなくても大丈夫です。

僕は実務では殆ど事前審査やっていませんでした。

事前審査をやる場合は「ちょっとこの人の住宅ローン厳し目かな?」という時のみでした。

 やるメリットが殆どないので特段理由がなければ省いても構わないと思います。

 

2、正式審査

来店が必要です。

この時点で物件の資料や本人確認など様々な公的書類が必要になってきます。

正式審査の結果が出るのは早ければ1週間、遅いと1ヶ月とかかかる場合も出てきますが、平均2週間かからないくらいだったと思います。

どうしてかかる時間が大きく変わってくるのか?これは実は担当のスキルだったりも関係してきます。

借りる人に問題がなく、物件も問題がなく、書類が整っていれば正式審査もすっと終わります。

 

しかしどれか1つでも問題があったり、書類に不備があると当然のことながら時間がかかってしまいます。

書類に不備があった場合、またお客さまに来店してもらって書類を持ってきてもらいます。

電話してすぐに来店できる人って当然少ないですよね。

なので不備が発覚しても1週間対応ができなかったりということもあるのです。

 

最初の時点で不備がないように案内しろよと思われるかもしれませんが、これは当初必要なかったはずの書類を『物件に問題があるかもしれないから追加でこの資料を出させなさい』と本部に言われることもあるのである程度は大目に見てあげてください。

 

あとは担当のスキルの問題もあるのですが、住宅ローンの事務ってすごい細かくて大変ですし、しょっちゅう経験したことのないような案件が来たりします。

これも細かくは別の記事でまとめたいと思いますが、住宅ローン専門以外の人が担当となった場合は不備などが出やすく、時間がかかるケースが多くなると思います。

 

また三菱UFJ銀行はお高くとまっていて審査が厳しいと言われることが多いですが、個人的にはそんなことないと思います。

確かに他の銀行の審査は通ったのに三菱だけダメだったという話は聞きますが、これに関しては三菱だけ通ったけど他の銀行はダメだったという話も聞きますので一概には言えないことだと思います。

 

3、契約手続き

来店が必要です。

正式審査がおりて、あとは売主とのスケジュール調整をして物件の引き渡し日を決めます。

そしてその前に契約を済ませるという流れになります。

正式審査がおりてすぐに契約できるというわけではなく、正式審査がおりたら支店に契約書類が届くまで日数が必要ですので大体3日くらいは見たほうが良いです。

 

またこの契約手続きの時によくお客さまにも言われていましたが、記入書類がとにかく多い。

全てに氏名、住所の記入が必要なので来店時の時間も結構必要です。

 

4、住宅ローン実行

場合によっては売主と一緒に来店して、口座にお金が振り込まれるのを待つ場合もあります。

これは必要な場合と不要な場合があるので不動産業者の方に確認をしましょう。

 

大体初めての来店から住宅ローン実行まで平均1ヶ月くらい見たほうが良いと思います。

僕が実際に行った案件で最速2週間というのはありましたが、これは買主が本当に急いでいたということもありますしレアケースなので、ある程度余裕を見て手続きを進めることをお勧めします。

 

三菱UFJ銀行の住宅ローンのメリット

個人的には疑問な点もありますが、よく対面で相談できることがメリットと言われています。

対面で何を相談するのか? 

どのくらいの住宅ローンを組めるか。

金利はどうしたら良いか。

住宅ローンの進め方。

 

こういったことだと思います。

初めて住宅ローンを組む人にとって、住宅ローンの進め方はわからないことが多く不安だと思いますので、住宅ローンの進め方を対面で相談出来るということは非常にメリットになってくると思います。

しかし他の2つに関しては個人的にはむしろデメリットだと思っていますので、デメリットのところで説明したいと思います。

 

三菱UFJ銀行の住宅ローンのデメリット

金利が高い。

対面で相談出来るが担当のレベルにばらつきがありすぎる。

 

これが個人的に思う2大デメリットです。

金利の高さに関しては既に上で書きましたが、借替の場合の3年固定の0.4%は安いとも書きました。

しかしこれは見せかけのトリックといっても過言ではありません。

 

まずはこちらをご覧ください。

例えば少し前にネット銀行で借りている人がいたとします。

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少し前のネット銀行の一般的な金利、0.507%でこの先ずっと金利が変わらなかったと仮定します。

そうすると次のようなシミュレーション結果となります。

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ではこの人がネットで『お!三菱UFJ銀行にネットで借替すると今よりも金利が安くなる!借り替えよう!』と借りかえたとします。

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するとどうなるか。

 

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元々の返済額が毎月89,848円でしたので、当初金利のところを見ると毎月88,447円となりますので確かに安くなっています。

 

しかしその後の1回目見直というところを見ると91,118円となります。

なぜこのようなことが起きるのか?

もう一度さっきのプランを見てみましょう。

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三菱UFJ銀行 ネット専用 借替プラン

4年目以降完済まで店頭表示金利より最大-1.85%と書いてあります。

ここが曲者で、最初の非常に低い0.4%という期間が終わると変動金利だとしても0.625%に逆戻りしてしまうというカラクリです。

 

そうするとトータルで結局約35万円程返済額が増えてしまうという結果になります。

住宅ローンは基本的には期間の長い商品ですので、 目先の高い安いよりもトータルでどうなのかという視点が重要になって来ます。

 

次に対面相談出来る担当のレベルのバラツキですが、これが致命的だと思います。

例えばどのくらい借りられるか相談出来るのは良いとメリットにあげる方もいます。

 

銀行は貸せる金額を教えてくれるだけで、その人が無理なく返せる金額は教えてくれない

 

これは結構よく言われていることですが、銀行としては最大限多く貸したい。

住宅ローンを返せなくなると住む家を取られてしまうのでみんな必死に返す。

だから返済計画に多少無理があっても他を犠牲にしてなんとかしてくれる。

 

勿論価値観の問題なので別に良いのですが、住宅ローンを借りすぎて子供が大学行く時とかに教育ローンの相談をしにくるお客さまとかを見るとなんだかなーと思っていた記憶があります。

 

また金利の相談に乗ってくれるという話ですが、銀行員、特に三菱UFJ銀行の場合、固定金利を勧める人が多い印象があります。

実際、三菱UFJ銀行の住宅ローンのページに行くと固定金利をまず全面に押し出しています。

これって理由があるのご存知ですか?

これは裏話のところで詳しくお話しします。

 

 三菱UFJ銀行の住宅ローンの金利引き下げに関する話

例えば三菱UFJ銀行で0.875%くらいで借りていたとします。

でも今三菱UFJ銀行で借りる人は0.625%とかで借りられます。

自分もその金利にしたいなーと思いませんか?

 

これ対応してくれます。

三菱UFJ銀行の住宅ローン担当の人に「他の銀行に借替しますね。」と言うと対応してくれる場合があります。

 

銀行としては他行に流れてしまうよりも金利を下げてでも自分のところに残ってもらった方が利益になるので当たり前ですね。

 

でもその場合は一応審査があります。

例えば住宅ローンを借りた時は働いていたけど、今は仕事していませんって場合は金利を下げてくれません、というよりも下げられません。

ほかにもどういった審査があるかというと、他の銀行で借替を計画していて借替をした場合にその人にとって利益があるのかないのかを聞かれます。

その結果、他行に借替えをしてもメリットがなかったとしても実は対応をしてくれます。

 

ここ他の銀行と大きく変わるところだと思います。

 

なぜそのようなことが起きるのか?

詳しくは裏話のところで書きたいと思いますが、三菱UFJ銀行で結構前に住宅ローンを借りていて金利が高いな〜と考えている方は積極的に金利引き下げの相談をしてみてください。

 

三菱UFJ銀行の住宅ローンの裏話

当然のことながら三菱UFJ銀行も株式会社です。

担当者には目標が割り当てられます。

記憶がうろ覚えですが、僕がいた支店それなりに大きい支店でしたが1人あたり大体4000万円くらいの収益をあげることが目標だったと思います。

 

では住宅ローンの場合どういった計算として計算されるのか?

例えば3000万円の住宅ローンを実行したら120万円の収益として計算されていました。

実行金額の4%です。

 

今は住宅ローン金利も安いですし、住宅ローンの収益は一気に入ってくるというよりも常に入ってくるというイメージですので、実際の会社としての収益計算は違うと思いますが、担当者の査定をするにはそこまで複雑に計算をすると大変なので簡素化されているというわけです。

 

で、これの何が裏話かというと、住宅ローンの金利プランによってこの収益計算が変わってくるというわけなのです。

変動金利:4%

3年固定、5年固定:4.4%

10年固定:4.8%

20年以上の固定:5.2%

今は変わっているかもしれませんが、少なくとも僕が銀行を退職した2013年時点ではこういった計算方法でした。

 

つまり銀行としては変動金利よりも固定金利を借りてくれた方が収益になるというわけです。

当然同じ3000万円の住宅ローンを実行したとしても変動金利だと120万円の収益計算に対して、10年固定で借りてもらうと144万円の計算になるので効率的になります。

 

これが三菱UFJ銀行の担当者がやたらと10年固定とかを勧めてくる理由の1つでもあるのかなと個人的には思っています。

 

また金利引き下げの話で記載した件ですが、普通は既に住宅ローンを借りている人の金利を引き下げしても収益計算に計上しないという銀行が多いと思うのですが、三菱UFJ銀行の場合は数字になってしまいます。

1件について700万円の住宅ローンを実行したのと同じ扱いです。

収益28万円計算。

 

うちで住宅ローンを借りてくれませんか?だと他行との比較もあるんでうまくいかないケースもありますが、うちで借りている住宅ローンの金利を下げませんか?で断る人いませんからね。

ちなみに事務手数料とかで少し費用がかかりますが、1万円もいかないくらいだったと思います。

 

これ、一応本部としてはお客さんに能動的に呼びかけてやってはダメですよというルールになっていますが、支店によってはリスト化して『他行で借替えを考えていることにしてもらえば、金利下げられますよ』って電話しまくっているという話です。

 

まとめ

金利が高いので特段理由がなければお勧めは出来ない。

担当者と面談できる強みではあるが、担当者のレベルに左右されやすい。

審査が厳しいということは特になく、場合によっては申し込みから実行まで短期で完結する。

現在三菱UFJ銀行で借りていて金利が高いと感じている場合は、積極的に金利引き下げの相談をしてみましょう。