Money Pedia

メガバンク出身のファイナンシャルプランナーによる、なるべくわかりやすい言葉で金融商品についてまとめていくブログです。

【医療保険】基本的な仕組み、メリット、デメリット

医療保険は不要!!

 

こういうブログご覧になったことはありませんか?

僕も色々とブログを見ていると結構こういう主張をしている方が多いように感じます。

でもテレビとか見ているとCMで医療保険ってバンバン流れていますよね?

普段商談をしていてもお客さまから『〇〇で話を聞いた時に医療保険なんていらないですよって言われたんですが、そうなんですか?』と聞かれることもよくあります。

 

これって保険会社やFPの中でもかなり意見が分かれるところです。

 

僕の個人的な意見はまた別途書きたいと思いますがここではそもそも医療保険ってどういう仕組みになっているの?というところがわからないと検討することが難しいと思いますので、基本的な仕組みやメリット、デメリットについてまとめていきたいと思います。

 

 

そもそも医療保険とは?どうやったらお金が受け取れるの?

そもそも保険料を保険会社に支払って、その対価として自分が病気等で困った時にお金を受け取れるという仕組みです。

なのでどういう時に保険会社に保障をしてもらえるのかをはっきりと整理しておかないと必要なのか不要なのか決められないと思います。

  1. 病気や怪我で入院した場合
  2. 手術をした場合

各社様々な医療保険を出していますし、実は医療保険と言うものは毎年のように商品開発や改定が行われています。

なのでまとめることが難しいのですが、この2つは基本的にどこの保険会社で加入をしても必ずついている保障かと思います。

 

ここに各社差別化を図るために特約という形でその他の保障を付けたり、基本設計としてその他の保障がついていたりという形になっています。

ほんの一例になりますが、他にどういった保障があるのか紹介していきたいと思います。

 

病気や怪我で入院した後に退院した場合

病気や怪我で入院して退院した後に、通院した場合

三大疾病(癌、心筋梗塞脳卒中)で入院をした場合に追加で保障される

女性疾病で入院をした場合に追加で保障される

放射線治療を受けた場合

抗がん剤投与のために通院した場合

先進医療を受けた場合 

→先進医療についてはまた別途まとめたいと思っていますがここでは簡単に。

健康保険の対象とならないもので、全額自己負担となる治療と考えていただけたらと思います。

 

代表的なところとしてはこのようなものが挙げられると思います。

 

ここで注意が必要なのが言葉だけで表面的にどういった場合に保障されるのか判断するのではなく具体的にどのような場合に保障されるのか確認をすることです。

 

どういうことか?

例えば病気や怪我で入院をした場合に1日あたり1万円受け取れるという保障でご説明します。

A社→1泊2日以上の入院から給付するが、日帰り入院は不可

 B社→2日しか入院をしていなくても、一律5日分(5万円)の保障が受けられる

C社→日帰り入院も保障される。その後は1日につき1万円の保障が受けられる。

このような感じです。

 

金融機関と言うものは文字と言うものに非常に制約が多く、パンフレットなども文字数がどうしても多くなり、一般の方からすると非常にわかりにくい内容となっているかと思います。

そこを営業マンが噛み砕いてご説明をするというのがよくある光景ですが、営業マンも人の子なので自社商品の全商品を完璧に把握している人というのは実は稀だったりします。

 

じゃあ営業を受ける素人であるお客さま側はどうしたらいいのか?

 

それは実際に自分が保障を受け取る場面をイメージするとわかりやすいかと思います。

やはり自分がお金を支払って保険会社からいざという時にその対価を受け取るわけなので、具体的にイメージをするということが重要だと思います。

 

医療保険のメリット

  1. 病気や怪我した時に資金面で助けられる
  2. 節税効果

医療保険のメリットと言うと1にほとんどが集約されているかと思います。

ではメリットについても1つずつ解説していきたいと思います。

 

病気や怪我した時に資金面で助けられる

上でも書きましたがそもそも医療保険と言うものは病気や怪我で入院や手術をした時に保険会社からお金を受け取ることが出来る商品性となっています。

 

【例】

1日入院すると1万円が出るタイプの医療保険

入院手術を行うと20万円

 

例えば癌の平均入院日数は約20日となっております。(厚生労働省 平成26年患者調査より)

 

そうすると

入院1日につき1万円×20日間入院=20万円

手術をした=20万円

合計40万円を受け取ることが出来る。

 

これが保険として足りるのかどうか。

40万円受け取るのに一体いくら払っているんだ!?

 

勿論こういったことを議論する必要もあるかとは思っていますが、それはまた別途記載したいと思います。

ここでは少なくともこの40万円受け取ることが出来るということは当然のことながらメリットになります、ということで書かせていただきます。

 

 

節税効果

医療保険で節税?』と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。

生命保険に加入されているサラリーマンの方は毎年年末近くになると年末調整という形で保険会社から送られてくる生命保険料控除証明書を提出しているかと思います。

 

詳しくはまた別途まとめたいと思いますが、簡単に書くと保険入っている人は毎年所得税、住民税安くしますよっていう仕組みです。(ただし控除の上限は設けますよ。)

 

以前は一般生命保険料控除と個人年金保険料控除の2本立てでした。

これが2012年(平成24年)1月1日以降に関しては一般生命保険料控除、個人年金保険料控除、介護医療保険料控除の3本立てに変更となりました。

 

ざっくりどのくらいのメリットがあるかと言うと

例えば月々7000円くらいの医療保険に加入したとします。

そうすると年間で8万4千円。(年間8万円というのが上限金額となっております。)

すると4万円を所得から控除していいよというものです。

 

所得税は年収によって差がありますので、どのくらい税金が安くなるのかは人によって違いますが、例えば所得税率20%だと仮定すると毎年8000円所得税が安くなる。

 

住民税は所得税の方と計算が違いますので、ざっくり上記の例で計算をすると約2800円住民税が安くなるという形になります。

 

まとめると月々7000円医療保険に保険料を支払うと毎年8000円の所得税と2800円の住民税で合計10800円くらい税金が安くなりますよという節税効果があります。

 

お客さまの中にはこの控除を考えてその分だけ保険に入りたいという方もたまにいるくらいです。

 

ちなみに2011年(平成23年)12月31日より前に医療保険に加入している方は介護医療保険料控除は適用になっていません。

 

実はこれ適用させる方法がありますがそれは別途記事にしてまとめたいと思います。

 

中には介護医療保険料控除が使えていないので新しく入りなおしましょうとセールスする営業マンもいますのでご注意ください。

 

医療保険のデメリット

  1.  コストパフォーマンス
  2. 体況上の影響を受けやすい

この記事を書くにあたって自分でも色々とネットで検索をしてみて知ったことですが、医療保険はデメリットという名目では紹介されることが少ない商品でした。

しかしこの2つが主なデメリットかなと個人的には思います。

 

コストパフォーマンス

冒頭にも書いた医療保険は不要といった記事を書いている方も大体これを理由にしていると思います。

 

医療保険のメリットのところでも少し記載しましたが、例えば医療保険に加入して癌で入院手術をしたと仮定すると合計40万円が保険会社から受け取れることがメリットとします。

 

それに対していくら保険会社に支払うのですか?

 

ということですね。

例で仮定した医療保険のスペックを35歳で加入して65歳まで支払うとします。

そうすると保険料は月々5000円程度が相場だと思います。

ということは年間で6万円の保険料です。

これを35歳から65歳の30年間支払うので、合計180万円を支払うことになります。

 

合計180万円を支払って1回癌になっても40万円受け取るのが相場だとすると、人生で5回癌になってようやく元が取れると考えることが出来ます。

 

こういう風に書くとどこかの保険会社の人やFPの人に

 

保険料払込免除特約をつけたらいいじゃないか!

癌の入院は短くても、脳卒中なら平均入院日数は約90日だ!

(注、保険料払込免除特約というのは保険料を支払っている期間に例えば癌になったらその後は保険料支払わなくてもいいですよ、でも保険はちゃんと続きますよという仕組みです。)

 

って言われそうですが、それは勿論その通りです。

これらについてはまた別途記載しますが、要は様々なケースが考えられるので一概にコストパフォーマンスが悪いと言う理由で医療保険が不要とまで言うのは少々乱暴かなと思います。

 

ただ『月々これだけの保険料で病気になっても困りませんよ。』とセールスする営業マンが多い中、月々の保険料だけではなくトータルで自分がいくら支払ってどのようなケースで保険会社からどのくらい受け取ることが出来るのかは考えた方が良いと思います。

 

体況上の影響を受けやすい

保険と言うものは加入をする時に告知と言って健康状態について保険会社に知らせて、それを受けて保険会社としてはOKなのかNGなのか条件付きでOKなのか結果を出します。

 

例えば医療保険に加入すると出産が帝王切開だった場合、手術給付金として受け取ることが出来ます。

ここで考えられるのが次のようなことです。

1人目の子が帝王切開だったけど、医療保険に入っていなかった。

2人目も欲しい、でも2人目も帝王切開の可能性が高いな~

じゃあ今の内に医療保険に入っておこう

 

こういうことですね。

実際、出産の帝王切開に備えて医療保険に加入したいという女性のお客さまは結構いらっしゃいます。

でもこれって保険の本来の目的とは少しずれてきます。

なのでこういった場合には保険会社サイドとしては「帝王切開を過去5年以内にしている方は新しく医療保険に加入しても3年間は帝王切開ではお金を支払いませんよ、その他は一般の方と同じ条件でOKですよ。」といった結果を出します。

これを部位不担保といった特別条件と呼びます。

 

しかしながら例えば3年前に帝王切開して、それが原因で今亡くなる方っていないですよね?

なのでこういった方も普通の生命保険は無条件で入ることが可能ということになります。

 

このように医療保険は健康状態のちょっとした影響をダイレクトに受けやすいので、ちょっと健康に不安がある方はすぐに悪い条件で加入が余儀なくされてしまうという点はデメリットかと思います。

 

 

いかがでしたでしょうか?

インターネットで医療保険は不要!というブログを見たからと言って簡単に判断するのではなくメリット、デメリットをしっかりと見極めてから判断された方がよろしいかと思います。